老人ホームを探し始めると、「特定施設」という言葉を見かけるようになると思います。
特定施設とは、都道府県により「特定施設入居者生活介護」の事業者指定を受けた施設のことを言うのですが、介護保険制度の介護サービスのうち、「特定施設入居者生活介護」は「介護付き」と表記している老人ホームや施設と密接に関係したサービスです。
こちらの記事では、この「特定施設入居者生活介護」についてご紹介します。
特定施設入居者生活介護とは
厚生労働省の介護サービス情報公表システムでは、特定施設入居者生活介護を下記のように説明しています。以下に引用します。
有料老人ホーム、軽費老人ホームなどに入所している要介護認定を受けた利用者に対して、その施設が提供するサービスの内容などを定めた計画(特定施設サービス計画)にもとづいて行われる入浴、排泄、食事等の介護、洗濯、掃除等の家事、生活等に関する相談及び助言、日常生活を送るうえで必要となるサービスをいいます。
引用元リンク:
サービス編 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」
上記で「計画(特定施設サービス計画)」とありますが、これはいわゆる「ケアプラン」のことですね。
ケアプランとは、介護を受けるご本人やご家族のご希望に基づいて、「どのような生活を送っていきたいか」という目標を定め、その実現のために、どのような種類の介護サービスを、どれくらいの頻度で利用していくかを定めた「介護サービスの利用計画書」のことです。ケアプランはケアマネジャーが作成します。
上記のように説明されている特定施設入居者生活介護ですが、これを一言で言ってしまうと、いわゆる有料老人ホームなどが提供する介護や生活に関するサービスのこと、と言えるでしょう。
つまり、有料老人ホームなどの入居者ご本人のご意向を踏まえてケアマネジャーが作成したケアプランに沿って行われる介護サービス(例.入浴、排泄、食事など)や生活支援サービス(例.洗濯、掃除、生活相談など)を介護保険法上、特定施設入居者生活介護と呼んでいるということです。
特定施設だけが「介護付き」を名乗れる
さて、こうした特定施設入居者生活介護のサービスが受けられる施設は「特定施設」と呼ばれます。
特定施設とは、人員、設備、運営に関する各基準をクリアして、都道府県知事から特定施設入居者生活介護の事業者指定を受けた施設のことです。
いくつかその基準をご紹介しておきましょう。
人員基準
- 管理者: 原則専従1名
- 生活相談員: 利用者:職員=100:1(利用者100名に対して1名以上常勤)
- 看護職員・介護職員: 利用者:職員=3:1(利用者3名に対して1名以上)
- 機能訓練指導員: 1名以上(兼務可)
- 計画作成担当者(介護支援専門員): 1名以上
上記のうち、機能訓練指導員は主に入居者の方のリハビリを行う職員、計画作成担当者はケアマネジャーと考えていただいて結構です。
設備基準
- 建物: 耐火建築物、準耐火建築物
- 介護居室: 原則個室、プライバシー保護、介護を行うために適当な広さ、地階設置の禁止、避難上有効な出入口の確保
- 浴室: 身体の不自由な者が入浴するのに適したものとすること
- 便所: 居室のある階ごとに設置し、非常用設備を備えていること
- バリアフリー: 利用者が車椅子で円滑に移動することが可能な空間と構造を有すること
- 防災: 消火設備その他の非常災害に際して必要な設備を設けること
このような細かな基準をクリアすることで特定施設の指定を受けた施設だけが、上でご説明した介護保険の対象となるサービスを提供できる「介護付き」と名乗ることができるということになります。
具体的な施設では、介護付き有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム(ケアハウス)、一部のサービス付き高齢者向け住宅が該当します。
記事リンク:
介護付き有料老人ホームの特徴を知っておこう
2種類の介護サービス提供形態
特定施設の介護サービスの提供の形態は2種類あります。
一般型
多くは、その施設のケアマネジャーがケアプランを立てて、施設のスタッフがそのプランに則って介護サービスや生活支援サービスを提供する「一般型」と呼ばれるものです。
プランの立案から実行までが施設内で全て完結するイメージですね。
外部サービス利用型
これに対して、ケアプランの立案は施設のケアマネジャーが行い、生活支援サービスも施設のスタッフが提供しますが、ケアプランに基づく介護サービスは委託した外部の事業者が提供する「外部サービス利用型」と呼ばれるものもあります。
費用には注意
一般型は、基本的なサービス利用についての費用が一定(固定定額。ただし、要介護度・要支援の程度により異なる)です。
これに対して、外部サービス利用型は、サービスを利用した回数や時間帯に応じて費用を支払う必要があり、限度額を超えた分については全額自己負担となります。
そのため、外部サービス利用型の場合は、要介護の状態が重くなって、利用するサービスが積み上がると、一般型よりも負担が大きくなる可能性があります。
特定施設入居者生活介護の利用者負担の金額は下記のとおりです。
利用者負担の金額
※入居の費用やおむつ代などの日常の生活費などは、別途負担の必要があります。
- 要支援1: 179円(1割。1日につき)
- 要支援2: 308円(同上)
- 要介護1: 533円(1割。1回につき)
- 要介護2: 597円(同上)
- 要介護3: 666円(同上)
- 要介護4: 730円(同上)
- 要介護5: 798円(同上)
施設の介護サービスの利用をチェックする
老人ホームや介護施設探しに当たっては、入居予定の方が現在は自立した状態であっても、将来のことを考えるとその施設の介護体制やどのような介護サービスを受けられるのかということは気になるところですね。
老人ホームや介護施設探しで気になる施設があったら、その施設が特定施設なのかどうか、介護保険の介護サービスの利用についてはどのような形態なのか、介護サービスは施設スタッフが提供するのか、それとも外部スタッフが提供するのか、そして費用形態はどうなっているのか、などというポイントをチェックしておくことは、入居される方の安心な老後の生活のために必要です。
老人ホームと介護保険サービスについては下記の記事でもご紹介していますので、こちらもご覧ください。
記事リンク:
老人ホームや介護施設と介護保険サービス
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