「介護付き有料老人ホーム」は、3種類(健康型、住宅型、介護付き)ある有料老人ホームのうち、一般的ないわゆる「老人ホーム」のイメージに最も近いのではないかと思います。
それは「介護を受けながら、人生の最後を迎える高齢者の施設」というようなイメージではないかと思いますが、実は介護付き有料老人ホームは、入居者の方の状態に合わせていくつかタイプがあります。
その介護体制、費用感、そして入居者別のタイプなど、介護付き有料老人ホームに関する基本的な情報や特徴をこちらでご紹介しましょう。
目次
都道府県により指定を受けた介護を必要とする高齢者のための施設
介護付き有料老人ホームは、民間の事業者などが運営する、高齢者の方がホームに居住しながら介護を受けることができる施設です。
施設によっては介護が必要な方だけでなく、自立や要支援の方と要介護の方が一緒に生活をしている施設などもあります(後述の混合型)。
事業者が介護付き有料老人ホームを運営するには、人員や設備、運営といった各基準をクリアして、都道府県から「特定施設入居者生活介護」の事業者の指定を受ける必要があります(特定施設)。
手厚い介護体制
介護者数の基準
特定施設である介護付き有料老人ホームでは、介護保険法で職員1人が看る介護者数の最低基準が設けられています。
その基準によれば「要介護者:介護・看護職員」が「3:1」、つまり、「3人の要介護者を1人以上の介護職員や看護職員で看る」ことが最低基準とされています。
実際は、上記の最低基準を満たすだけでは充実したサービスの提供を受けるのが難しいというのが現状です。
ですので、「2:1」以上なら満足いくレベルの介護が受けられ、「1.5:1」ならかなり手厚い介護が期待できる、というのが目安です。
また上記も含めた職員の配置についても下記のような基準があります。
- 生活相談員: 入居者100人に対して1人以上
- 介護職員 : 入居者3人に対して1人以上
- 看護職員 : 常勤1人以上
- 機能訓練指導員 : 1人以上
- ケアマネジャー(計画作成担当者) : 1人以上
ただし、これらの数値は、24時間常に3人を1人以上の職員が看ているということを意味しません。
通常、各施設では食事や入浴の時間の人員体制を厚くする一方、夜間は薄くして人員の調整を行っています。
介護サービスの提供形態
介護付き有料老人ホームの介護サービスの提供形態は、「一般型」と「外部サービス利用型」の2種類があります。
一般型
一般型は、介護付き有料老人ホームに所属するケアマネジャーが、入居者のケアプラン(居宅サービス計画書)を立て、施設のスタッフがそのプランに沿って、介護サービスや生活支援サービスを提供します。
外部サービス利用型
外部サービス利用型は、ケアプランの作成、安否確認、生活相談を介護付き有料老人ホームに所属のケアマネジャーやスタッフが行いますが、介護サービス自体は、委託を受けた外部の介護サービス事業者が提供します。
特定施設や一般型・外部サービス利用型に関しては、下記の記事でもご説明していますのでご覧ください。
記事リンク:
特定施設入居者生活介護って何?
居室は個室が基本
居室は個室が基本ですが、最近はユニットケア方式(10名前後を1単位(ユニット)として区切り、専任の介護職員を配置してケアを行なっていく介護方式)も増えてきています。
居室の広さは介護付き有料老人ホームのタイプ(後述)によって変わります。また、居室の浴室の有無もタイプによります。
その他の設備としては、トイレや食堂、リビング、コミュニティルームなどのほか、さらに入居者の要望や費用によって、売店や理容室・美容室、医務室などもあったりと施設によってかなりバラエティに富んでいます。
費用は入居一時金と月額費用が基本
介護付き有料老人ホームの費用は、入居一時金と月額費用が基本になります。
入居一時金は家賃の前払い的な費用で、施設やタイプによって異なるため、ゼロ~数千万円と幅があります。
月額費用も10~30万円程度とこちらも幅があります。
また、介護付き有料老人ホームでは、介護費用(介護保険の介護サービス費。自己負担は1割)は定額で、要介護度別に決められています。地域ごとにも金額に違いがあります。
入居一時金と月額費用などに関しては下記の記事でもご説明していますのでご覧ください。
記事リンク:
有料老人ホーム費用の相場はどれくらい?その内訳は?
介護付き有料老人ホームの3タイプ
介護付き有料老人ホームは、入居者の方の身体状況により3つのタイプがあります。
当サイトでは、色々な種類の老人ホームや介護施設を紹介していますが、有料老人ホームには3種類(健康型、住宅型、介護付き)あります。
記事リンク:
有料老人ホームの基本(費用・種類・選ぶ基準)を知っておこう
その1つである今回の介護付き有料老人ホームには、さらに3タイプ…と、ややこしいかもしれません。
ですが、もちろん暗記したりする必要はないので、利用者のニーズに合わせて色々な種類があるのだな、くらいに考えていただき、それぞれの違いのイメージを持っていただければよいでしょう。
それでは介護付き有料老人ホームの3タイプをご紹介します。
入居時自立型
入居時自立型は、「自立型」とあるように、入居する際は、介護の必要がない元気な高齢者の方のための介護付き有料老人ホームです。
介護が必要になった場合は、職員から手厚い介護を受けることができます。
自立した高齢者の方のために、設備や食事は豪華で、充実したシニアライフを送るための様々な配慮がなされています。
介護が必要になったら、同じ施設内の介護のためのフロアか、隣接する介護棟に移ることになるところもあります。
入居時自立型の費用は高額で、入居一時金のほか「介護一時金」(上乗せ介護費用)がプラスされる施設もあります。
介護専用型
介護専用型は、介護が必要になってから入居する介護付き有料老人ホームです。
居室は介護がしやすいよう他の有料老人ホームと比較して狭く、戸も開け閉めがしやすいよう引き戸になっていたり、要介護者向けの浴室が配備されたりと、要介護・要支援の方が過ごしやすいように配慮された施設です。
介護を目的にした施設のため、入居時自立型のような共用設備の充実はなく、その分、入居一時金が高額になる施設は比較的多くありません。
混合型
混合型は、自立した方と介護が必要な方の両方が入居できる介護付き有料老人ホームです。
ただ、その雰囲気はどちらかというと介護専用型に近い施設が多く、特に自立した方が入居を検討する場合は、その施設の入居者の状況をきちんと確認しておいた方がよいでしょう。
混合型の費用に関して、自立の方が注意しておきたいのが、「生活サポート費」です。
施設にとって、要介護や要支援の方は介護保険から介護費用が施設に支払われますが、自立の方はこうしたものがありません。
その代わりに、自立の方の生活支援サービスための費用を「生活サポート費」を名目として全額自己負担してもらう、というものです。
これによって、要介護や要支援の方よりも自立の居住者の方が負担金額が多くなる、ということがありますので、入居検討の際は良く確認しておくようにしましょう。
入居検討の際は介護体制や費用を確認しよう
介護付き有料老人ホームは、他の種類の施設に比べて、介護が必要になった際の手厚い介護が期待できる存在です。
一方で、介護付き有料老人ホーム同士でも入居者の方の状態に合わせてタイプが異なったり、また施設同士の介護体制や費用にはかなり違いがあるので、入居検討の際にはくれぐれも慎重に確認するようにしましょう。
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