特養の待機人数が減っているのは本当?入居しやすくなったの?

昨年の後半から、特養(特別養護老人ホーム)の待機人数が減ったという報道がされるようになりました。

特養の待機人数は減っているのでしょうか。それは特養への入居がしやすくなったことを意味するのでしょうか。

2016年後半から2017年2月現在までの特養への入居について状況を整理しておきましょう。

特養の待機人数が「減った」という調査結果

特養と言えば、「待機人数が数百人」「入居まで数年待ち」など、その入居の難しさがとかく話題となりがちでした。

ところが、昨年の後半から民間団体や報道機関の各種調査結果で、特養の待機人数が減っているという結果が出始めています。

参考リンク
特養待機者が都内で減少 15年、入所条件の厳格化影響か:日本経済新聞

特養待機者、厳格化で4割減 認知症など門前払いも – 共同通信 47NEWS

厚生労働省ではまだ発表がありませんが、すでに調査に乗り出しているとの報道もあります。

参考リンク
特養待機者:調査へ 整備抑制の可能性 厚労省 – 毎日新聞

これまで公表されていた待機人数は約52万人

特養に関してはこれまで2014年度の厚生労働省の調査結果である約52.4万人が待機人数であると言われ、この数字は特養への入居の難しさの代名詞にも使われてきました。

参考リンク
特別養護老人ホームの入所申込者の状況 |報道発表資料|厚生労働省

実態は厚生労働省の全国の特養への調査結果を待たねばなりませんが、報道されているとおりだとしたら、特養への入居を希望されている方々へは朗報のように思えます。

このことについて、2017年3月27日に厚生労働省が調査結果を発表しました。

調査結果について以下の記事でご説明しています。

記事リンク
特養の待機人数減少が判明、入居困難な状況は変わらず

これまでと比べて特養の待機人数は減っていて、そして特養へ入りやすくなっているのでしょうか。

きっかけは介護保険法改正

特養への待機人数が減ったという民間などの調査結果では、その要因として2015年4月から施行された介護保険法の改正をあげています。

参考リンク
平成26年(2014年)介護保険法改正(厚生労働省ホームページ。PDFファイル)

この改正では、それまで「要介護1」以上であった特養への入居の条件が原則「要介護3」以上とされました。

この要介護3以上の入居条件が厳格に適用された結果、待機人数が減ったというわけです。

また、待機人数減の理由としては、2015年8月に施行された介護保険の自己負担分増もあげられています。

一定の所得がある方(65歳以上で合計所得金額が160万円以上の方)は、これまでは1割だった介護サービス費用の負担が、この改正により2割負担となったのです。

特養の待機人数は減ったのか、入居しやすさは?

さて、今後厚生労働省がどのような調査結果を発表するかは注目ですが、ここまでの民間団体等の調査結果からは、現状では特養の待機人数は「数字上は減った」としか言えない状況です。

特養への入居が進んでいるわけではないのでは

介護保険法の改正による特養入居条件の要介護3以上が厳格に適用されたことが待機人数減少の要因とされていますが、この厳格に適用というのがクセモノです。

なぜなら、要介護3以上が厳格に適用されたことにより、これまで特養待機者としてカウントされていた要介護1・2の方々が基本的には待機者としてはカウントされなくなった、ということを意味するからです。

つまり、これまで特養へ入居待ちしていた人が続々と入居することができて、特養の待機人数が減ったということではない、ということです。

また、特養側でも要介護1・2の方々を門前払いしている例も報道されており、特養への入居を希望される方の現状はあまり変わっておらず、むしろ入居条件の厳格化による悪影響の方が懸念される状況です。

参考リンク
特養:入所、狭まる門戸 厳格化で待機4割減22万人 軽度要介護者、行き場なく – 毎日新聞

潜在的な特養への待機人数は変わっていない、減ってはいないと考えた方が現状ではよいでしょう。

特養を取り巻く厳しい状況

特養自体の状況も整理しておきましょう。

厚生労働省の調査によれば、特養の施設数自体は2014年の7249から2015年の7551と増加しています。

参考リンク
平成27年介護サービス施設・事業所調査の概況(厚生労働省)

一方で、特養では介護職員を中心に人手不足が深刻化しており、それを理由に入居者の受け入れを制限する施設も出てくるようになっています。

参考リンク
特養:人手不足46.9% 1割で受け入れ制限も – 毎日新聞

また、特養の経営面では、介護報酬改定の影響による人件費上昇などを背景に黒字の施設と赤字の施設の二極化が鮮明になってきており、施設の空きを無くしてより効率的に施設を運営していく必要に迫られています。

参考リンク
平成27年度 特別養護老人ホームの経営状況について(独立行政法人 福祉医療機構。PDFファイル)

これらから言えることは、これまでに増して特養の施設間の競争も激しくなってきており、人手不足と人件費上昇に対応しながら経営していく難しさを各特養の施設ごとに抱えているということでしょう。

また、今回の特養の待機人数減少の影響として、空きが出始めている特養が報道される例も見られますが、空きが出る特養には何らかの理由があるとも考えておいた方がよいです。

例えば、施設やスタッフに問題を抱えていたり、著しく不便な場所にある、または競合の特養が集中している地域にあるなど、さらに、そもそも先ほどご説明した状況で経営に問題を抱えている、といったことです。

以下の記事では入居を避けた方が良い施設のポイントを説明していますので、こちらもご覧ください。

記事リンク
こんな老人ホームは要注意!避けるべき施設のポイント

もともと特養では要介護度が重い方の入居を優先していた

また、今回の入居条件厳格化の以前から、特養では要介護度が重い方を入居判定する際に優先していたという事情もあります。

特養の入居は申し込み順ではなく、要介護度や介護する家族の有無など、入居希望者の方がより施設サービスを必要としているかどうかによって各施設で入所可否が判定されています。

特養の入居判定については以下の記事でもご説明していますのでご覧ください。

記事リンク
特別養護老人ホーム(特養)を知る!費用や入居条件は?

このように見てくると、現状では、本来特養のサービスを必要としている方々の待機人数は決して減ってはおらず、入居がしやすい状況になっているとは言えないと考えざるを得ません。

現状で特養に入るにはどうすればよいか

特養への入居しやすさが今のところそれほど変わっていないとすれば、特養に入居を希望されている方はどうしたらよいのでしょうか。

現状で考えられる対応をいくつかご紹介します。

要介護1・2でも特養に入れる!?

先ほど、入居条件厳格化に伴って要介護1・2の方々を門前払いしている施設がある例を紹介しましたが、特養側でも入居条件の運用が正しく理解されていない可能性があります。

2015年4月の介護保険法改正では、要介護1・2の方々を無条件で対象外とはしていません。

認知症を患っていたり、知的障害があったり、また介護する身寄りのいない方々は要介護1・2でも特例として特養への入所が認められることを厚生労働省では明記しています。

現在は削除されてしまっていますが、以前の厚生労働省のパンフレットに記載された内容を以下に引用しておきます。

Q.要介護1や2で、入所が認められるのはどのような場合ですか?
A.要介護1や2の方が特例的に入所できるのは、以下のような考慮事項を勘案して特別養護老人ホーム以外での生活が困難な事情がある場合です。

① 認知症で、日常生活に支障を来すような症状等が頻繁に見られること
② 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状等が頻繁に見られること
③ 深刻な虐待が疑われること等により、心身の安全・安心の確保が困難な状態であること
④ 単身世帯等家族等の支援が期待できず、地域での介護サービス等の供給が不十分であること

引用元リンク
特別養護老人ホームの重点化(厚生労働省ホームページ。PDFファイル)

ですから、上記の①~④に該当するようであれば、あきらめずに特養へ入居の申込を行うべきです。

エリアを広げて探してみる

今回の特養の待機者減については、その影響で稼働率が下がっている特養が出始めていることも報道されています。

参考リンク
特養待機者急減:要介護者、奪い合い 施設空き出始め – 毎日新聞

特に郊外の特養や地価が安くて特養間の競争が激しい地域などでは、空きが出ている可能性はあります。

ですから、これまで探していて空きのある特養が見つからない場合は、探すエリアの範囲を広げてみると空きのある施設が見つかるかもしれません。

ただし、対象範囲を広げることは、入居対象者の方のご自宅やご家族の家からより離れた場所にある施設に入居する可能性があることにもなります。

そうした点は許容できるのかどうかを入居される方とご家族でよく話し合って合意しておくようにしましょう。特に入居者の方のご意向は大切にしてください。

入居する施設に求めるポイントのまとめ方や施設の環境については以下の記事でもご説明してますのでご覧ください。

記事リンク
老人ホームや介護施設に望むことをまとめておこう

老人ホームや介護施設の見学時は周辺環境もチェックしよう

特養以外の選択肢も検討するべき

これまで見てきたように、特養の入居条件厳格化によって要介護1・2の方々が入居対象から原則として外されました。

これにより、特養に入居できない方々の不便と介護されるご家族のご負担は今後さらに増すことが想定されます。

こうした状況では、特養のみに固執して入居する施設を探すことはおすすめできません。

そもそも、入居の難しさだけでなく、特養自体にも施設ごとに言わばピンキリの違いや個性があり、本当に入居される方に合った施設かどうかはしっかりと見極めて入居するか否かの判断をする必要があります。

空きがあったから飛びつくように入居したら、実は入居者の方に合わない施設だった、設備やスタッフに問題がある施設だった、ということは老人ホーム探しではよく聞く話です。

ですから、施設への入居を検討する場合は、特養のみに固執せずに、有料老人ホームへの入居など他の施設の資料も取り寄せて、特養以外の選択肢も検討してみましょう。

以下の記事では特養に入居できない場合の選択肢とおすすめの方法をご説明していますのでこちらもご覧ください。

記事リンク
特養に入れない時どうするか?3つの選択肢とおすすめの方法

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